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今回は基弘会の事業計画のあゆみにはじまり、福利厚生、上野式介護技術として、川西本部長と坂本院長の対談をご紹介しています。ぜひご覧ください。

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この「Masterpiece」シリーズでは、これまでの基弘会の歩みを支えてくださった様々な方たちにインタビューをさせていただき、その哲学をお伝えしていきます。

記念すべき第1回は、Sirourenこと一般社団法人大阪市老人福祉施設連盟 代表理事の仲谷善弘先生。御本人の言葉でお届けします。

プロフィール

仲谷善弘(なかたに よしひろ)さん

一般社団法人大阪市老人福祉施設連盟(Sirouren)代表理事
社会福祉法人 永寿福祉会 専務理事

もと銀行員という異色の経歴の持ち主。介護業界に転身し、1986年に大阪市内では初となる新規法人設立による「特別養護老人ホーム喜連」を設立。以降、高齢者、障がい者、地域福祉まで様々な事業を展開。

現在は一般社団法人大阪市老人福祉施設連盟、通称「Sirouren」の代表理事として、大阪市の社会福祉法人ではたらくエッセンシャルワーカーをサポートする活動を行っている。

「国ってなんや?」

私は元銀行員でしたが、銀行をやめて26歳の時に特別養護老人ホームを作りました。当時は法人もなかったですので、法人づくりと特養を同時に作ったんです。

うちには創設者がいらっしゃいますが、もともとはただの百姓のおっちゃんです。当時の尋常高等小学校、今でいう中学校しか出ておられない人だったんですね。

当時、銀行の貸付係だった私はそこに営業の傍ら一生懸命文章を作ったりしてお手伝いに行ってたんですね。

「おっちゃん何してんの?」ときくと「特養作ろう思てんねん」って言われたんです。私は「特養=特別養護老人ホーム」が何なのか知らなかった。

特養って何ですか?と尋ねて返ってきた答えに、私はすぐ「姥捨て山や」と思いました。今から40年前にそれを大阪市内で作ると言う創業者に、私は「なんでそんなあほなことしはんの?」って言いました。

持っていた土地を寄付して、当時坪単価100万くらい(今だと約300万)の土地を300坪持っておられたから3億になりますね。

当時、基本金として現金1億円が絶対必要だったんです、だから4億出さないといけないですね。それを聞いて「いやいやうちで融資しますからマンション作りなさいよ」って私は言ったんです。

でも特養を作るんだと言われて。

「仲谷くん、この書類分かるんか?」と言われてわかると言ったら「仕事終わったら手伝いに来てくれへんか」と言われたので、仕事終わってから手伝いに行ってたんです。それはお客さんやから。ひょっとしたらまたたくさん借りたり預金したりしてくれるかもというやらしい気持ちで(笑)。

遅くなったらちょっと飲みに行こうかと誘われました。

僕は「なんでそんなあほなことしはるねん、そんな土地を寄付して」と言いました。

すると「仲谷くん土地って誰のものか分かるか?」と言われたんですね。私は「土地は所有者のものです」と答えた。

返ってきたのは「いや違う、土地は国のもんや」と。

なぜ国のものか?国から「所有しなさい」とか「使っていいですよ」とか権利書をもらってるやん、と言われたんです。

この土地を親子三代にわたって何もしなかったら相続で全部持っていかれる。

でもこの土地を使って事業をしたら三代やってもこの土地は残る。だからこの土地は使う権利を国から許してもらっていると。その代わりちゃんとお金払いなさいねと言われてるんやで、と言われました。

すると次に「国って何や」と言われたんです。

尋常高等小学校しか出てないおっちゃんからですよ。当時私は25歳くらいだったかな。国なんて考えたことないじゃないですか。

すると創業者は言いました。「仲谷くん、簡単や。国っていうのは人の集まりや。それのもうちょっと小さいのが都道府県。もうちょっと小さいのが市町村。一番小さいのが村や」。

「仲谷くんなあ、村に一人ずつ俺みたいな考えの人間が出てきたら日本変わるで」と言われたんです。

私は衝撃を受けました。一円合わなかったら深夜まで残ってお金数えてた、コンピューターもなかった時代ですよ。そんな時代にそれを言われたんです。雷が落ちました、ドッカーン!って。

「俺は学問もないし生きていく力もないけど先祖さんがこの土地を残してくれはったんや。

そしたら行政の人達が道路つけてくれたり、地下鉄つけてくれたり、高速道路ができて。たまたまうちはそこに土地があった。

ご先祖さんが頑張って残してくれた。

俺何もしてへんのにお前みたいな奴がきて、倉庫作りなはれマンション作りなはれビル作りなはれって、勝手にお金出してくれてビル作って家賃で今働かんで食えるねん。

だからこれは地域に返さなあかんねん。俺が今働かずに食えるのは地域のおかげやから。その分を地域に返す。だからマンションは建てへん、これで特養やるねん」と言われたんです。

しばらくしてから手伝えと言われて、お前に任せると言われて、銀行に退職届を出しました。

当時は法人のない個人が特養を作るというのは大阪市内で初めてだったんです。みなさん保育園や養護老人ホームをやられてたり法人を持っておられて、次に特養をつくるのが普通でした。

ですから、何も分からないままいろんなことをいろんな人たちに教えていただいて法人作りをしてきた歴史が私にはあるんです。

でもそんな中で、私は元々民間人ですので、納得いかないことっていっぱいあったんですよ。

介護は今後なくなる?

特別養護老人ホームを作るために認可が下りたら、次はサービスを作っていかないといけませんね。

当時は利用者さんの夕食の時間が5時だったんです。他の施設に行ってもみんな5時。なんで5時なのか?早いですよね。せめて6時じゃないとと思いました。

いろいろ話を聞くと、老人ホームの中のタイムスケジュールが職員用なんです。職員が9時5時で帰らないといけないので5時にご飯を食べる。それは言わば役所の下請け的な感覚ですよね。

でも民間人からすると「はあ?」と思うじゃないですか。なぜ職員のスケジュールに合わせてお客さんのスケジュールを決めないといけないの?お客さんのスケジュールを先に決めて、そこに職員のスケジュールを当てはめていくべきやろと、民間人の感覚なら思いますよね。

でもその当時はそうだったんです。

で、僕はいやそれはおかしいということで変えた。

だから多分、その頃の介護業界にとっては僕は異端児だったというふうに思います。

しかしそこから40年あまり。

僕もう64なんですよ。普通のサラリーマンだったらもう定年の歳です。しかし今も市老連の会長をやらせてもらってるんですけど、次世代に変えていかなあかんなというのはあります。

僕なんかの時代は、先輩に教えられて、教えていただいたことをその通り忠実にやりなさいという時代。その上で、自分の方針に合った形へ少し変化をさせてやっていくというような進め方、いわば進歩させていくという形でした。

そしてこれから先は進化しないといけないと思ってるんですよ。

つまり、新たなものを作り出していかないといけない。でないと多分、「福祉」としての介護は業界としてはなくなってしまうのではと思っています。

介護保険制度ができてからたくさんの多様なサービス事業者さんが出てきて、いろんな形で経営しておられるサービスがいっぱいできてますよね。そのサービスに勝たないといけないわけですよね。なかなか目線が違うと勝てないです。ですから、福祉として経営できるかというと、それは難しくなっていくんじゃないかと思います。

やっぱりその時代の変化にしっかりそぐわないといけないし、もっと言うと時代を変えていかないと、多分経営は成り立っていかないんじゃないかと。

お客さんが100%神様ではないですけども、やっぱりお客さん目線に立って仕事を進めていくのはすごく大切なことだし、それができるようにならないと介護は滅ぶと思っています。

だから「進化」なんです。

異端児だった私が40年たってもなかなか進められてなかったというのは、やっぱり先輩の話を「進歩」させてるだけで、今後はもっとスピードをもって「進化」させていかないといけないと思っています。

今、「科学的な介護」とか言われてることもあります。当然ロボットとかも入ってくるでしょうし、そういったテクノロジーのようなものに対して60超えた人間がついていけないのも事実です。

だから若い人に、次世代に変えていかなあかんなという思いもあります。

「金持ちになりたいか、事業家になりたいか」

「福祉」の人間にとって一番大切なこととはなにか?

それは人を想いやる心でしょうね。

福祉をやる人間って優しいですよね。その優しさはすごく必要なんですけど、人に優しい人って自分にも優しいんですよね。経営者からすると、職員としてはすごくいいんだけども幹部候補生としては物足りないところが出てくるというのが福祉の人間です。

根本は皆さん優しいです。思いやりがあって人に優しいです。最初に現場にいる時にその優しさはすごく大切なんですけど、部下ができ、部下が10人20人になった時には立場上厳しく生きないといけなくなってくるんですね。その時に、自分にも優しい人は経営者の求める幹部人材にはなかなかなれないこともある。

思いやりも厳しさも両方必要です。

当然人に優しいというのは根底に必要ですし、冷静な心とホットハートは根底に必ず必要です。

私は28歳の時に、当時社長だった京セラの故 稲盛会長と、紹介者と3人でお食事させてもらう機会があったんです。

そのとき、紹介者が私のことを稲盛社長に紹介してくださったんです。「これから高齢者が増えてくるから、高齢者事業はどんどん事業としては伸びると思ってるみたいよ」と。

すると稲盛社長から質問されました。「仲谷くんは金持ちになりたいんか、事業家になりたいんか」。

当時、私28ですやん、まだ生意気ですやん。「いや社長は金持ちやからそういう質問ができるんですよ」と言ってしまった(笑)。

そしたら稲盛社長が「金持ちになるのは簡単や」。それでまた「はあ?!」と思うじゃないですか。

でも社長は「金持ちになるのは簡単やで。刑務所の塀の上を歩ける勇気とちょっとした知恵!」と言われたんです。でもまだ当時はピンときてなかったんですよ。

塀の上を歩ける勇気と知恵と言われたのはいわゆる法律のグレーな部分ですね。間違えると刑務所に落ちるけども間違えなかったら表だと。

社長は続けて言いました。「私は仲谷くんには事業家になってほしい。事業家というのは職員を大切にするものだ。あなたのところの従業員を幸せにしてあげてください。あなたのところの従業員が全て『幸せやなぁ』と思った時、必ずあなたも幸せになってる。振り返ったらもうそこそこお金はあるよ」。

まあ10年かかりましたね、それが分かるのに。

確かにそうだなと思います。

稲盛会長を見てたら、本なんかもそうですけど会長になっても名誉会長になっても日本航空の時もずっと同じこと言っておられます。絶対社員の首は切りませんものね。それがあの人の哲学だったんだと思いますね。

だから、経営を勉強していく中で、お客さんを幸せにしたら職員も幸せになる、職員を幸せにしたら法人も幸せになるという三すくみがあるんだということを学びました。

稲盛会長は、「全ての人達が幸せになるその時に企業がうまく回っている」という経営方向を、理論としてじゃなく言葉で教えてくれたんですね。

私はまだ当時若かったから「こいつ人がやらんことやりおるねんな」「間違えよったらあかんな」と思われたから、言ってくださったんでしょう。

業界の課題とともに期待もある

福祉を守るために社会福祉法人は大きくなる必要はあると思ってます。

では大きくなるにはどうしたらいいかというと、いっぱい施設を作るという今の補助金のやり方だったらなかなか持たないと思います。

そうなると、一つの法人を作ってこの法人が中心で、皆さんそこへ集まるというホールディングスを作るやり方がいいと思うんです。

合併しようとすると、すべての施設に理事長がおられますね。それぞれの理事長の考え方は違うし、我を通したい方もいっぱいおられますので、それを合併させようとするとなかなか難しいところがあります。

しかし理事長さんはそのままで、ホールディングスの「この指とまれ」で止まってもらったらホールディングスの指示には従ってもらいます、経営もここから全部指示を出しますのでその方向でやってもらいますというやり方ですね。

だからここの理事長さんは「はい、分かりました」で良いわけです。

あとは職員教育とかも全部ホールディングスの本部がやってくれますから、理事長さんは理事長さんで残っていきますけど本来的な経営をする必要性はなくなっていく。

だからホールディングスのトップになってやっていくと全ての参画者は生き残っていけるなと思っているんです。小さいところは特にですね。

ここに、今コロナ禍の中で小さなデイサービスだけやっているという株式会社とかNPOとか、もうやめようかなと思っている人がいっぱいいると思います。ですからその人達を止めさせないためにも僕はこのホールディングスの方法が今後は一番いい経営だと思ってます。

だから、親分が必要になるんですね。それは経営に長けてる人達で、この人が「この指とまれ」とやった時に「●●さんだったらついていくわ」と言われるような人間力のある方が求められているんです。経営力があっても人間力がなかったら誰も止まりに来ませんからね。そういう方が今後は必要になってくると同時に、ものすごく期待してます。

(インタビューここまで)

いかがでしたでしょうか。

大阪における特養の第一人者である仲谷先生の言葉は、長年の経験に根ざしており、重みがあります。

基弘会においても、法人の進化を模索しています。

福祉を中心に、それを取り巻く環境である食や医療など、あらゆる分野の方々と共生していける枠組みを目指しています。今回、仲谷先生にご教授いただいた事を肝に銘じ、進化に向けて取り組んで行きたいと思います。

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