レビー小体型認知をご存じですか?レビー小体型認知症は別の精神疾患と間違われやすい特徴があります。また、初期症状に認知症特有の認知機能の低下が目立たないこともあり、症状の進行に気づかないまま、発見が遅くなってしまうケースも少なくありません。
この記事では、レビー小体型認知症の特徴的な症状を解説していきます。また、介護をする家族が行うべき対応方法や相談先についても紹介しますので、是非参考にしてみて下さい。
レビー小体型認知症の特徴的な症状4選!
レビー小体型認知症の特徴的な症状は4つあります。
- 幻視
- 認知機能の変動
- パーキンソン症状
- 睡眠時の異常行動
それぞれ順番に解説していきます。
幻視
レビー小体型認知症の特徴的な症状のひとつは幻視です。実際には存在しないものが、本人にはありありとみえてしまう症状となります。たとえば、「虫が床を這っている」「子供が部屋で遊んでいる」など内容は具体的であることが多いです。
実際の会話の中で現実と相反する発言がみられることで、症状が出ていることに気付けます。幻視は他の認知症とレビー小体型認知症を区別するための特徴的な症状といえるでしょう。
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レビー小体型認知症の初期は、もの忘れが目立たない事が多いです。幻視の内容をはっきり覚えていることも多く、不安や興奮を助長してしまうこともあります。
認知機能の変動
レビー小体型認知症の特徴的な症状のひとつは認知機能の変動です。記憶力や理解力などの認知機能が、調子の良い時と悪い時で交互に繰り返すのが特徴です。変動の周期は人それぞれですが、日や時間帯によって大きく変化します。
アルツハイマー型認知症では緩徐に認知機能が低下し、症状が回復することは無く、その状態は一定に保たれます。対して、レビー小体型認知症では良い時と悪い時の波があり、良い時の状態だけをみると認知症を発症していると判断できないこともあるでしょう。
パーキンソン症状
レビー小体型認知症の特徴的な症状のひとつはパーキンソン症状です。パーキンソン症状の具体的な一例は以下の通りです。
- 手足が震える
- 動きが遅くなる
- 表情が乏しくなる
- 筋肉・関節が固くなる
- 小刻みにしか足が動かせず、歩きづらくなる
- 転倒しやすくなる
レビー小体型認知症の方は、歩行状態が悪くなりやすく転倒のリスクが高いといえます。
睡眠時の異常行動
レビー小体型認知症の特徴的な症状のひとつは睡眠時の異常行動です。浅い眠りの時に、奇声をあげたり暴れたりするのが特徴です。通常は睡眠中はリラックスしている状態であり、身体が動くことはありません。
しかし、レビー小体型認知症では筋肉が弛まないまま、身体が夢と連動して動くため、眠りが浅い時に異常な行動がみられることがあります。朝方など眠りが浅くなりやすい時間帯には注意が必要です。
レビー小体型認知症の特徴的な症状に対する対応方法
レビー小体型認知症の症状への対応方法をご紹介します。
- 幻視への対応
- 認知機能の変動への対応
- パーキンソン症状への対応
- 睡眠時の異常行動への対応
それぞれ順番に解説していきます。
幻視への対応
幻視への対応は、本人の訴えを否定しないことです。本人には実在としてはっきりと見えているため、理解し受け入れることが大切となります。たとえば、「虫なんてどこにも居ないよ」など現実を押し付けるような対応は避けましょう。本人が混乱し、妄想に発展してしまう可能性もあるからです。
また、部屋の照明を明るくしておくこともポイントです。幻視は暗い場所や見間違いしやすい環境で起こりやすいからです。部屋の壁に洋服をかけない、目立つものは置かない、壁紙を無地に変えるなど、室内環境をシンプルに保つと良いでしょう。
幻視で見えているものは、触ったり近づいたりすると消えることがあります。本人が不安や恐怖で混乱している時は、一緒に確認してあげると良いでしょう。
認知機能の変動への対応
認知機能の変動への対応は、認知機能の症状に変動が生じる事を念頭におき、その周期を把握しておくことです。状態が悪い時の身体症状や症状が出やすい時間帯を把握しておくことで、必要な対策を事前に行えるからです。
たとえば、状態が悪い時に歩行の介助が必要であれば、「一人で歩かせない」「側で見守る」などの関わりが必要になるでしょう。1日の中での症状の変動や週単位での本人の行動の変化を確認しておく事が大切です。
パーキンソン症状への対応
パーキンソン症状への対応は、家の中に転倒につながるような危険なものがないか確認をする事です。転倒予防の対策は以下の通りです。
- 必要な箇所に手すりを設置する
- 不要なカーペットは取り除く
- 段差を解消する
レビー小体型認知症では、筋肉や関節が固くなり小刻みにしか足を動かせないため、躓きやすいものを解消しておくと良いでしょう。また、症状が良い時には、足の運動などのリハビリや足の関節や筋肉を柔らかくするためのストレッチも効果的といえます。
パーキンソン症状がある時に、後ろから急に声を掛けるのは避けましょう。振り向いた際にバランスを崩し、転倒してしまう危険性があります。
睡眠時の異常行動への対応
睡眠時の異常行動への対応は、体を揺らすなどして無理やり起こさない事です。外部からの刺激によって、夢と現実が混ざってしまい、更に興奮してしまうことがあるからです。睡眠時に異常な行動が出た際には、部屋を明るくしたり、音楽をかけたりするなど、自然に目が覚めるように工夫しましょう。
夜間の睡眠の質を整えるためにも規則正しい生活を送りましょう。夜にぐっすり眠るために、昼間は身体を動かし、昼寝はなるべく控えると良いでしょう。
家族だけの介護で不安を感じた時の相談先
レビー小体型認知症の症状が進行すると、介護により身体的にも精神的にも負担が大きくなります。家族だけの介護で不安を感じた時の相談先は以下の通りです。
- 地域包括支援センター
- かかりつけ医
- 認知症疾患医療センター
- 物忘れ外来
まずは、普段の生活や身体状況をよく知っている、かかりつけ医に相談してみると良いでしょう。
利用できる介護サービスとしては、認知症対応の施設で行われるデイサービスや訪問型の介護サービスがあります。認知症に対応した介護サービスはいくつもあるので、利用を検討してみると良いでしょう。
まとめ
レビー小体型認知症の特徴的な症状を解説しました。また、症状に対する対応策や相談先についても紹介しました。レビー小体型認知症は他の認知症に対し、特徴的な症状がみられるため、介護者の負担も大きくなりやすいです。事前に症状を把握しておくことで、適切な対応をとれるようにしておきましょう。