特別養護老人ホーム（特養）の入居選びをする際には、施設の種類によってどの様な特徴の違いがあるのか事前に調べると思います。しかし一口に特養と言っても種類が変われば、特徴も大きく異なるのが一般的です。違いを知らずに入居を決めてしまうと、後々大きな後悔をしてしまうこともあるでしょう。この記事ではユニット型と従来型の2つの施設の違いを比較して説明します。違いを理解した上であなたに合った施設選びに役立ててください。
ユニット型と従来型の比較
特養は大きく分けるとユニット型と従来型と2種類に分けられます。それぞれのタイプごとに部屋のイメージや生活スタイルは大きく異なります。特養の入居選びをする際には、それぞれの特徴をよく理解しておくことが大切です。
ユニット型と従来型の特徴を具体的に比較すると以下の通りです。
| ユニット型の特徴 | 従来型の特徴 | |
|---|---|---|
| 施設のモデル | 住居 | 病院 |
| 部屋のイメージ | 自宅の個室（一部屋に1つのベット） | 病院の大部屋（一部屋に複数ベット） |
| 生活スタイル | 個別の生活（シェアハウスのイメージ） | 共同生活（学校の合宿のイメージ） |
| プライバシー | 保たれやすい | 保たれにくい |
| ケアの受け方 | 少人数で受ける | 大人数で一律に受ける |
| 入居費用 | 比較的高い | 比較的安い |
従来型の特養施設でモデルにされたのが病院です。昔は多くの利用者に効率よくケアを提供することを優先した、施設づくりがおこなわれていました。大人数の利用者に一律のサービスを提供しやすかったためです。利用する方も比較的安い入居費用であることから、ニーズが高く従来型の施設が数多くつくられました。
ユニット型の特養施設のモデルにされたのが住居です。現在は少人数の利用者に行き届いたケアを提供するための施設づくりが少しずつ増えています。背景には入居費用が高くてもこれまでの生活スタイルを変えたくないという利用者のニーズが高まったためです。利用者ごとに適したケアを受けやすい、ユニット型の特養はいま注目が集まっています。
ユニット型特養施設の詳細
ユニット型特養の生活基盤は10名以下のグループで構成されています。入居者ごとのニーズに合わせたケアを受けやすい環境が、ユニット型特養の特徴と言えるでしょう。個室を中心とした住居スペースは、家庭に近い雰囲気の中で生活できます。
少人数のグループで生活するユニット型の特養は、少数の介護スタッフに行き届いたケアを提供してもらうことができます。プライベートな個室を利用できるので、ある程度好みの部屋にすることが可能です。
- 趣味の小物をお部屋に飾る
- お気に入りの家具を持ち込む
また個室にはお手洗いが設置されていることもポイントです。共有スペースにはリビングやキッチンも用意されているので、入居者同士の交流や料理なども楽しめます。
ユニット型の特養では個人の空間や時間が保たれやすく、自分の趣味や余暇を楽しむのには向いています。反対に大人数で行うレクリエーションや、リハビリテーションの時間は従来型の施設に比べると少なくなってしまう傾向にあります。
個室での生活が可能なユニット型の特養は入居費用が高めです。しかし、大人数を一律でケアする従来型の特養と比べて、より行き届いたケアを望むならば、ユニット型の特別養護老人ホームは検討価値のある選択肢になるでしょう。
少人数の利用者に少数のスタッフで関わることで、入居者との関係性を広く浅くから、狭く深く関われるようにしたのがユニット型の特別養護老人ホームです。プライベートな空間を確保させながら、行き届いた介護を受けられることはユニット型特養の大きな魅力です。
従来型特養施設の詳細
従来型特養の生活は数十名単位での共同生活です。効率的な介護を提供できる環境なので多数の入居者を受け入れることができます。スペースが大きなところで入居者が一緒に過ごす、学校みたいなイメージが従来型特養の特徴です。
大人数で共同生活する従来型特養はレクリエーションが豊富に行われます。
- みんなで楽しめるアクティビティ
- リハビリテーションを兼ねた体操
ひとりではなかなか取り組み難い活動であっても、入居者同士で集まれば、楽しく取り組めるでしょう。
しかし共同生活がメインのため、プライバシーを確保することは難しい環境です。複数人が一緒の部屋で過ごすことになる多床型では、空間をカーテンで仕切るだけの施設も多くあります。
大人数で行動することを前提としてつくられた従来型特養は、あまりひとりの時間を楽しむ場面はありません。お風呂もたくさんの人が効率よく入れることを目的としてつくられているので「お風呂で一息リラックス」は難しいこともあります。
大人数で共同生活する従来型特養は入居費用を抑えられます。大きなスペースに入居者が集まって食事をとったりレクリエーションしたり、共同生活ならではの面白さもあります。人と接するのが楽しいと思える方ならば、従来型の特別養護老人ホームは検討価値のある選択肢になるでしょう。
従来型特養は入居費用が安いことから今でも人気があります。生活保護を受けている入居希望者にとっては、ユニット型の特養は選択できずに従来型特養の中から入居できる施設を探す方も多くいます。
まとめ
ユニット型と従来型の2つの特別養護老人ホームの違いを比較して説明しました。病院をモデルとした従来型と、住居をモデルとしたユニット型では入居者に提供できるニーズが違います。近年はユニット型の特養が人気を高めていますが、それぞれに特徴のある施設です。違いを理解した上であなたに合った施設選びに役立ててください。
