今回の動画のあらすじ
この動画は、ケアマネ不要論について議論している動画です。介護保険制度やケアマネジメントの視点からケアマネ不要論を語っているのが特徴です。
介護を経験されている方で、ケアマネジャーの必要性について考えられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。介護サービスに関する書類の手続きは、やろうと思えばケアマネジャーの手を借りなくてもできます。また、動画の後半では進化したAIがケアマネジャーの代わりになるのか、という議論にも発展します。
これから介護を検討されている方にも役立つ内容になっているのでぜひ参考にしてみてください。
動画の見所を解説
この動画の見所は、介護業界で活躍している管理職と現役ケアマネジャーがケアマネ不要論について議論している点です。ケアマネジャー自身に大きく関わる内容を話しているので貴重な動画となります。
現在は介護保険制度によりケアマネジャーの利用は無料となっていますが、今後有料になる可能性もゼロではありません。ケアマネジャー利用が有料になった場合に必要とされ続けるか、という議題で赤裸々に語っています。
この動画についての解説ポイントは以下の通りです。
- ケアマネ不要論とは?
- ケアマネ不要論におけるAIの存在
- ケアマネ不要論を払拭するには
それぞれ順番に解説します。
ケアマネ不要論とは?
そもそもケアマネ不要論がどういったものかについて以下3点から解説します。
- 介護保険法改正
- ケアマネの役割
- サ高住
それぞれ順番に解説します。
ケアマネ不要論のポイント1:介護保険法改正
ポイント1つめは、介護保険法改正です。介護保険法の法改正の度に毎回ケアマネ不要論が叫ばれてきました。介護報酬が改定され、事業管理者が主任ケアマネジャーに限定されたからです。主任ケアマネジャーのニーズがあがる一方、ケアマネジャーは不要になる可能性について指摘がありました。
また、同時にケアマネ利用について有料化の議論も出ています。日本の介護給付費が増加しているからです。ケアマネの利用料は介護保険から出るため、少しでも自己負担額を増やそうという意向が出てきています。
ケアマネの利用は介護保険法が大きく関わるため、法改正の度にケアマネ不要論について議論が噴出します。
ケアマネ不要論のポイント2:ケアマネの役割
ポイント2つめは、ケアマネの役割です。ケアマネジャーの役割は主に大きく3つあります。
- ケアプランの作成
- 利用者とサービス事業者の調整
- 介護に関する書類作成
介護に関する書類作成については利用者自身でも対応可能です。とくに利用者側で使いたいサービスが決まっている場合は、単純な事務手続きのみとなります。ケアマネジャーが居なくても対応可能な点がケアマネ不要論が叫ばれる大きな要因と言えるでしょう。
ただし、介護保険制度は複雑です。実際には簡単に手続きができない方がいることも予想されます。また、医療との連携や入院後のケアなど、介護保険対象外のサービスもケアマネジャーが行っています。ケアマネジャーがいなくなってしまっては、各種サービス間の連携が乱れて、利用者が困る可能性が高いでしょう。
ケアマネジャーは介護保険以外の役割も担っています。包括的に考えるとケアマネジャーが不要と言うのは少し乱暴だと言えるでしょう。
ケアマネ不要論のポイント3:運営法人内でのサービスの斡旋
ポイント3つめは、運営法人内で介護サービスを完結させてしまうことです。とくにサ高住では収益のために自分たちのサービスの利用を優先してしまい、他の事業者が不要になっている場合があります。サ高住はサービス付き高齢者向け住宅の略で、高齢者向けの見守りサービスを備えたバリアフリーの集合賃貸住宅です。
サ高住に入居する高齢者が介護サービスを利用する場合は、外部のサービスを利用する必要があります。しかしサ高住を運営する法人のケアマネジャーは、自分たちの法人のサービスを斡旋しがちです。
業界内の競争が無く、利用者にとって好ましくない状況となってしまっているのも、ケアマネ不要論が叫ばれる要因と言えるでしょう。
ケアマネ不要論におけるAIの存在
ケアマネ不要論に関して、AIの存在も重要です。AIがケアマネジャーの仕事を奪う懸念もあります。
介護保険制度が適用される介護サービスは種類が多くありません。ビッグデータを活用して、AIが利用者ごとにどんなサービスが必要か提案できる可能性があります。
AIでも介護保険サービスを提案できる可能性がある?
AIでも介護保険サービスを提案できる可能性があります。ビッグデータをもとにすれば、それぞれの利用者の状態に応じた、最適なサービスを選べるからです。とくに介護保険が適用されるサービスは数種類しかないので、AIでも対応できる可能性があります。
- 通所系
- 訪問系
- ショートステイ
- 福祉用具
- 医療系サービス
またケアプランの作成も期待されています。ただし、実際にはAIがケアプランを全てを決めるわけではなく、サポート役としての活用が現実的でしょう。
もしもケアマネジャーの役割をAIが担えると、ケアマネ不要論が加速していくことになります。
ケアマネジメントは人とAIどちらが行うべきか?
ケアマネジメントは人とAIどちらが行うべきでしょうか。明確な答えは、まだありません。利用者によっても答えが変わってくるでしょう。
ケアマネジャーのメリットは、人の感情と生活習慣を汲み取れることです。介護保険適用外のサービスも含めて対応してくれるなど、細かいところまで手が届きます。
AIのメリットは感情が無く、公平な判断ができることです。ケアマネジャーと事業所は人間同士なので、忖度が発生する可能性があります。AIの公平さは利用者によっては好ましく感じられるかもしれません。どちらもメリットがあり、課題もあるのが現状です。
人とAIが協力してサービスの質を高めることが、利用者にとって一番良いことだと言えるでしょう。
ケアマネ不要論を払拭するには
ケアマネ不要論を払拭するには、ケアマネジャーの強みを活かしていくことが大事です。利用者の中にはケアマネジャーの人間味を好む人もいます。AIではできない細かいサポートは大きな強みになるでしょう。
医療系サービスとの連携や、入院後も定期的に利用者の様子を伺うことはケアマネジャーとして大切な仕事です。また、一人暮らしの方の安否確認など目に見えない部分のフォローで助かっている人もいるでしょう。
たとえ有料化されたとしても、ケアマネジャーはまだまだ必要な仕事です。ただハンコをつく仕事と思われてはいけません。強みを発揮していくことで、高齢化社会においてはニーズも高まっていくでしょう。
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